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【社外参謀’s File #09】 わくわく社員を増やして組織を活性化!中小企業で働く人に「働き方とマインドを変えるチャンス」を
中小企業と心をひとつに、外から支える「社外参謀」。JCFに所属する社外参謀たちの軌跡と中小企業への思いをお伝えする『社外参謀’s File』をお届けします。第9回目は、わくわく社員増殖コンサルタント®で社労士の中昌子。いきいき、わくわくと働く自立型社員を増やす「わくわく職場づくり」への思いを語ります。
■パート社員から店長に抜擢!1年で売り上げを3倍にした秘訣は「従業員の鮮度アップ」

現在、人材育成、組織活性化のコンサルタントと、社会保険労務士の二刀流で活動しています。
そもそも、新卒で新日本製鐵(現・日本製鉄)に入社し、海外輸出の仕事をしていました。当時まだ男女雇用機会均等法もない時代でしたが、男性と同じ仕事を与えていただいて、やりがいのある仕事をしていたんです。でも、私はなぜか専業主婦に憧れていたので、結婚し、一人目の子どもが生まれる直前に退職しました。
そこから16年間、望み通り専業主婦として生活。3人の男の子の子育てをしながら楽しく暮らしていました。ところが、長男が高校で野球部に入部。寮に入ることになり、寮費が入用に。結構高額で、次男と三男も高校野球を目指していたので、再び働くことにしたんです。
16年間のブランク。とりあえず近所のスーパーでパートを始めました。若い頃は新日鐵で働いていた、というプライドもあり、心の隅ではレジ打ちや品出しという仕事に対して「少しカッコ悪いな」と思うことも。けれど、せっかく働くなら楽しく毎日、笑顔で働こう!、と仕事をしていました。
そんなある日、かぼちゃ丸ごと1個と大きな缶詰1つをカゴに入れたお客様が私のレジにやってきました。品数は少ないですが、重いものばかり。私はとっさに、ポリ袋を2枚重ねてから商品を入れて、お客様にお渡ししました。すると、その方がとびっきりの笑顔で「あなた素晴らしいわ!!うれしい、ありがとう!」と言ってくださったんです。今でもその光景はよく覚えていて、この時に私の中で「この仕事カッコ悪い」と思っていたスイッチが、パチッと入れ替わりました。「ちょっとしたことでお客様をこんなに笑顔にハッピーにできるんだ!なんて素敵な仕事なんだろう!」と思ったんです。さらに、今までは店長の指示やマニュアル通りでしか仕事をしていなかったけれど、ポリ袋を2枚重ねるという、自分でお客様のために考えた行動がお客様の満足を生んだことで、仕事が楽しくなったんです。それからは、毎日早く仕事に行きたい!という思いで、わくわくと働くようになりました。
すると、3年ほど経ったころ、突然社長から「明日から店長をやってくれないか」というお話を受けたんです。当時、そのスーパーは周囲にできた大手スーパーの影響で、売り上げが落ちていました。社長は私に「毎日楽しくお客様のことを考えて仕事をしてくれる中さんが店長になったら、お店が変わるんじゃないか」と期待をしてくれたんです。でも、店長と言っても、パートで時給760円のまま。普通なら、断る人が多いかもしれないですよね。けれど、私はこれまでの3年間で働くことに夢中になっていて、お店に対する愛社精神も湧いていたし、なにより自分の可能性に対する期待感が高まっていたんです。だから、何も考えずに「はい、わかりました。やらせてください!」と二つ返事で引き受けて、次の日から店長になりました(笑)。
とはいえ、管理職もしたことがない素人の私が、店長として何をしたらいいのか、最初はわかりませんでした。とりあえず、単純に「お客様にたくさん来てもらえれば、売り上げが上がるだろう」という発想から、「スタッフが毎日楽しく元気に働いていたら、お店の雰囲気も良くなってお客様が来てくれるはずだ」と考えました。商品とともに、従業員の鮮度を上げることに努めたんです。一人一人に声かけをしたり、朝礼で笑顔の練習をしたり。そんなことを積み重ねていたら、1年で売り上げが3倍になりました。スタッフみんながお客様に喜んでもらうために、それぞれ考えて動いた結果でした。
その出来事から、他のスーパーの社長に店長や従業員に向けた研修を依頼され、自分のやっていることももっと多くの方に広めたい、と考え、2003年に株式会社マリンを設立。その後もさまざまな業種の企業からオファーをいただき「わくわく社員増殖プロジェクト」を実施する「わくわく社員増殖コンサルタント®」として、約7万人の育成に関わってきました。
さらに、人材育成のために役立つ国家資格を取得しようと、2007年に社会保険労務士を取り、事務所を開業しました。
■「わくわく社員」を増やす研修が“変わるチャンス”に。JCFのサポートで企業が発展
私はJCFの設立当時からのメンバーの一人で、代表の石原と出会った2016年に参画しました。
5つ星経営フローなど、トータル的に1つの企業に価値のあるサポートを提供できるJCFの活動は、企業に対しての貢献度が高い、とすごく魅力を感じましたね。実際に、社員教育の面だけのサポートでは、企業の発展に不十分な時もあります。そういった時に、5つ星経営フローのお金やビジョン、人、組織、戦略など、さまざまな要素から、その分野のプロがサポートすることで、企業が発展していくんです。

以前、社長さんがとても優秀で、トップダウンの傾向が強い会社さんの社員教育にJCFのコンサルタントとして入ったことがありました。上から言われたことはするけれど自らは動かない、という状況下で接客研修をおこなったのですが、これでは本当の意味での良い接客はできないと考えて、「わくわく社員」という自立型社員を育てるプロジェクトを提案しました。。組織にわくわく社員を増やすことで、周囲も変わっていき、最終的に自走できる組織を作っていきます。挨拶のレベルを上げたり、リーダー層や新人研修をしたりと、3年間さまざまな取り組みをして、今では素晴らしい自走組織になっていらっしゃいます。
石原が以前から、顧問としてコンサルに入り、戦略など広い側面でサポートしていましたので、ありがたいことにどんどん発展して行く様子を実体験させてもらうことができました。
実は、その会社さんで初めての女性管理職となった方が、うれしいことにお手紙をくださったんです。私の書籍を読み、研修を受けて「自分で考えて動いていいんだ」「まずは自分が変わって良い会社にしよう」ということに気づくことができ、モヤモヤが一気に晴れた、人生が変わった、と伝えてくれました。研修とは何かを教える前に、マインドを変えるチャンスをあげることが必要なのだと勉強になりました。
■まずは自分が毎日”わくわく”と過ごす!こだわりはそれぞれの企業にマッチしたプラン作り
組織の活性化と企業内に自立型社員を増殖させて、中小企業とそこで働く人のために貢献すること。それが私の使命です。中小企業は離職率が高く、定着率が低いです。しかも、良い人材がなかなか採用できないといったお悩みも多いです。教育する時間が取れず、費用もかけられないということをよく耳にします。だからこそ、より効果的な教育を提供したいという思いがあります。3年間くらいの計画を立てて、人を育てていくサポートをしていきたいです。
私が提供する研修は、企業によってカスタマイズしています。お困りごとをしっかりとヒアリングし、現場を見学して、今どんなことが起こっているのかを自分の目で確認をします。そして、真の課題を分析してプランを作るようにしています。さらに、実際に研修をしてみて別の部分に問題があれば、そこの改善に対するアプローチを考えます。それぞれの企業に対して、適したプランを作るのがモットーですね。
また、研修の時には、受講していただいている方々全員の名前と顔を覚えるようにしています。自分のことを認めている、関心をもってくれている、と感じてもらえると、信用してくださいますし、私の話すことも受けとめやすくなると思うんです。スーパーで働いている時にも起こった現象でしたが、いきなり全員を変えようは、難しいんです。でも、何人かがちょっと変わっていくと、オセロゲームのように、パタパタと周りが変わっていくんですよ。だから私は「育成」ではなく「増殖」と名付けています(笑)。わくわく社員がちょっとずつ増えていくイメージですね。そんなイメージを大切にして研修に臨んでいます。
あとは、なによりも私自身がいつも楽しそうにわくわくとしている、ということはとっても大事にしています。元気のない人から「わくわくしてください」って言われても、伝わらないですよね(笑)。毎日わくわく楽しく過ごすために、自分なりに工夫をしています。挨拶は必須です。家族間でも必ず名前を呼んで笑顔で挨拶をするんですよ。それから、口角を上げて話したり、マイナスの言葉を使わずプラスの言葉に変換するよう意識しています。例えば「疲れた」は絶対使わず、「今日はめちゃくちゃ頑張った」と言うようにします。口ぐせを変えることは、モチベーションの維持やプラスの気持ちでいるためにとても重要だと思います。
■一生笑顔でわくわく!これからは地元への恩返しも

今60代も半ばを過ぎましたが、まだまだ仕事はしたいと思っています。定年は決めていません。今まではどんなことにでも取り組んできましたが、これからは自分のやりたいことと自分ができることと、世の中が求めていることが重なった部分で社会貢献していきたいと思っています。やはり「わくわく職場づくり」に、よりフォーカスしていきたいですね。
また、それと同時に出身地の福岡県北九州市に恩返しをしたいと思っています。実は、北九州のラジオ局で13年間続いている番組を持っているんです。地域貢献の一環なのですが、さらに今、JCFのメンバーで北九州プロジェクトというチームを組んで『ファインディング北九州』という電子ブック(E-book)を2025年3月に発刊しました。現在第2号に向けてメンバーで動いていますが、今後もずっと続けていきたいなと思っています。
私が大切にしている”笑顔とわくわく”のメソッドは、会社だけでなく、家庭や学校など、さまざまな場所で活用できると思っています。やはり子どもの頃からこのマインドでいたら、自分の可能性も広がりますし、毎日楽しく過ごせるんじゃないかと思うんです。私が考案した「わくわく体操®」を始めとして、今後、笑顔&わくわくの普及活動もできたらいいなと思います。そのためにも、私自身が一生、笑顔でわくわくし続けたいですね(笑)。
<プロフィール>
中 昌子(なか・しょうこ)
福岡県生まれ。新日本製鐵(現日本製鉄)を退職後、16年間の専業主婦を経て、39歳のときに近所のスーパーマーケットでパートとして働きはじめる。3年後に店長に抜擢され、「働く喜び」を軸にした人材育成とチームづくりで、来客数を3倍、売上げも3倍にする。その後、2003年に人材育成・組織活性化コンサルタントとして独立。クライアントは小売業、飲食業、美容業、ホテル、運輸業などのサービス業をはじめ、製造業、不動産業、IT企業、医療機関、介護施設など多岐にわたり、のべ7万人以上の人材育成の実績を持つ。2007年に社会保険労務士事務所を開業。2013年より『わくわく社員(自立型社員)増殖プロジェクト』をスタート。「わくわく社員育成」「わくわくリーダー養成」「わくわく職場づくり」をテーマに3ステップの研修を通して、人材育成と組織活性化を目的にした研修・コンサルティングを全国の企業で展開中。また、小学校や少年野球チームでの笑顔の授業や講習、ラジオのレギュラー番組(FMKITAQにこにこのたね)で「笑顔&わくわく」の普及活動もおこなっている。プライベートではピラティスや筋トレ、野球観戦が趣味で、出身地の地元、ソフトバンクホークスの大ファン。
著書『社員もパートも自ら動き出す心の報酬の与え方』(CCCメディアハウス)
『チームワークは奇跡を起こす。』(リンダパブリシャーズ)
笑顔体操「にこにこのたね」CD/DVDリリース