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2025.08.21
お知らせ

【社外参謀’s File #13】 見えない財産にこそ、価値がある。中小企業が元気になるきっかけ作りで活性化を促す

 中小企業と心をひとつに、外から支える「社外参謀」。JCFに所属する社外参謀たちの軌跡と中小企業への思いをお伝えする『社外参謀s File』をお届けします。第13回目は、中小企業診断士の麻畑紀美子。中小企業の支援に対する思いや、知的資産経営支援の魅力について語ります。

 

■長く人事を経験した後、経理を学び中小企業診断士の道へ

 大学を卒業後、インテリア専門商社のサンゲツに入社し、人事で採用や教育に従事していました。9年間勤めて退社した後、以前から海外に住んでみたいという思いがあったことから、カナダに1年間の短期留学をしました。

 日本に戻ってきてからは、人事の経験を活かし、人事のソリューションを提供する会社に就職。採用のアウトソーシング事業を担当しさまざまなクライアント企業で、その会社の人事の方と一緒にプロジェクトリーダーの立場で就職採用活動に関わっていました。

 その後、社内で管理部に異動し、経理・財務の仕事を始めました。当時、会社は急成長していて、それまでは月次決算は税理士さんにすべてお願いしていたんですが、そろそろ社内で内製化してほしいと言われていたタイミングでもあったんです。ただ、社内で経理や財務について教えてくれる人がおらず、自ら簿記や経営の考え方を理解しておく必要があったので、3年かけて中小企業診断士の資格を取得。だんだんと知識をつけながら、経理の体制を整えていきました。

 しかし、体制を整えると業務はルーティン化してしまい、私のモチベーションは落ち気味に…。さらに経理の仕事ではお客様と接する機会もなく、もっと直接人と接して「役に立っている」と感じられる仕事をしたいなという思いもありました。その頃には自分がこの会社で担うべき役割は終えられたと感じ、退職を決意。中小企業診断士の他に、コーチングや研修講師の手法なども学んできていたこともあり、その3本柱でやっていこうと考え、独立しました。

 現在は、中小企業の経営改善支援と知的資産経営支援を中心に取り組んでいます。

 

■課題解決の際に常に頭にあるのは、JCFで得た“五つ星フロー”

 独立してから、キャッシュフローコーチの学びを始めた時に、JCF代表の石原の存在を知りました。それまで直接会う機会はなかったのですが、タイムマネジメント攻略の「参謀手帳」という講座があることを知り、面白そうと感じて参加したんです。

 当時、経営改善支援をしているクライアントに対して、自分のやり方でいいのか、もっと良い方法があるんじゃないのかとずっと思っていて。ですので、石原の五つ星経営の考え方に惹かれ、JCFの社内参謀大学に参加することにしました。五つ星は、ビジョン、戦略、組織、人材、お金の観点で見ることができ、全体を網羅して捉えることができる、そしてそれをしっかりクライアントに説明できるところがとても興味深く感じました。

 今は学んだことを活かしながら、経営改善の支援をしています。借入金を返すのが難しい状態から立ち直るために経営改善計画書を作成し、金融機関に現実的な改善方法と返済方法を提示し、金融支援の合意を取って、その後3年間モニタリングします。計画書を作る時は月に2回くらいクライアントの元に伺いますが、モニタリング期間は半年に一度お伺いし、状況を聞いた上で今後どのような取り組みを行うと良いか、事業者さんと一緒に考えていくという流れになっています。

 経営者の方とお話して、現状把握をするために財務の状況を整理したり、事業の状態を把握してうまくいかない理由を探ったりして、改善計画を立てていきますが、幅広く考えていくために五つ星の観点は常に頭の中にあります。

 改善を進めていくことで、資金繰りで頭がいっぱいだった経営者さんの不安が軽減され、希望を見出してもらえると、やはりうれしいですよね。

 

■知的資産経営支援で強みを理解すれば、会社全体の活性化につながる!

 中小企業の経営改善支援の他に、知的資産経営支援も行っています。知的資産経営支援は経済産業省が推進している取り組みの一つで、企業が持つ目に見えにくい資産である「知的資産」を認識し、それを活用して収益向上につなげる経営支援です。

 携わるようになったきっかけは、当時、千葉県中小企業診断士協会の理事をしていた時に、「知的資産経営研究会を立ち上げるにあたり、幹事となる理事が必要だ」ということで、幹事役をお引き受けしたことでした。その時は知的資産経営が何なのか全く分かっていませんでしたが。

 会社の資産、と言うと、建物や土地、機械などの目に見える資産を指すことが多いですが、氷山に例えると、それは海の上に出ている部分なんです。海の下にある見えにくい資産、たとえば人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、ブランドといった、形にはなっていないものを知的資産と呼んでいます。実は、このなかなか目に見えにくい資産が、他社との差別化や競争力の源泉になっているんですよね。でも、見えないから「うちには強みなんかない」と言う事業者さんもいますが、本当は、見えない価値があるからお客様に商品やサービスを選んでもらっているんです。そこをしっかり捉えていきましょう、というのが知的資産経営支援の一つのテーマです。

 やはり、中小企業が生き残っていくためには、自分たちの強みをしっかり理解して活かしていくことが大切です。マイナスの部分をプラスにしていくというよりも、プラスの部分をもっと鍛えることで、より他社との差別化を図れます。

 お客様は、商品やサービス自体を求めているのではなく、そこから得られる感情や効果が欲しいんです。たとえば、美容院の場合、お客様は「カット」や「カラー」といった施術を受けにいきます。しかし、本当に欲しいのは、若々しく見える、手入れが楽になる、気持ちが明るくなるといった、施術によって得られる効果ですよね。これこそが、お客様に提供する「価値」になります。そして、その価値を生み出すための社内の仕組みや工夫こそが、知的資産です。

 自社の知的資産が明らかになれば、自分の仕事がお客様にどんな価値をもたらしているかが明確になります。その価値の生み出し方がわかれば、「どうすればもっとお客様に喜んでもらえるか」という次の行動が見えてくるので、仕事へのモチベーションも高まります。

 さらに、自分たちの会社の良いところや、世の中に役立っていることが明確になると、経営者と従業員が「じゃあ、もっとこうしていこう」と前向きな対話ができるようになります。目標が定まって、会社全体の進むべき方向性が見えてきます。個人もそうですが、自分の持ち味や強みがわかり、それを活かして成果を上げて周囲から認められるとうれしいですよね。自信にもつながって、次の行動の原動力になります。知的資産経営支援が中小企業が元気になるきっかけになると信じて、これからも支援を続けていきたいと考えています。

 

■チームビルディングを取り入れ、組織と人の成長を支援したい

 今後は支援の中にチームビルディングの要素を取り入れて、従業員の方を巻き込んだ支援を進めていきたいと考えています。経営改善は会社全体で動かないと達成するのは難しいと考えているものの、なかなか具体的に取り組むことができていないことが、自身で課題に感じていました。今は、チームビルディングによる支援法を学び、実践に移しているところです。

 経営改善が必要な事業者さんは、社員がバラバラな方向を向いていて、仕事に対するモチベーションが引き出せていないので、業績が出しづらくなっているように感じます。もっと関わっている方々が成果を出せるよう、まずは従業員を巻き込みながら組織と人を成長させていける取り組みをおこなっていきたいです。

 

<プロフィール>

麻畑 紀美子(あさはた・きみこ)

山口県出身。大学卒業後に株式会社サンゲツに入社。カナダへの短期留学から帰国後、人事経験を活かして人事採用コンサルティング会社に転職。外資系企業、通信会社、大手小売業などの新卒・中途・アルバイト採用のアウトソーシングを担う。その後、急成長中だった同社の内部体制を整えるため、中小企業診断士資格を取得。経営に活かせる経理体制を整える。2015年、中小企業診断士として独立。千葉県中小企業診断士協会の理事を6年間務め、協会内で知的資産経営研究会を立ち上げる。現在もコンサル業とともに「知的資産経営」の支援をおこなっている。プライベートでは10歳の猫との生活を満喫中。

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