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2023.10.25
お知らせ

【社外参謀’s File #05】塩野貴之 後悔する人をなくすために。「社外経理部長」として中小企業の社長をサポート

中小企業と心をひとつに、外から支える「社外参謀」。JCFに所属する社外参謀たちの軌跡と中小企業への思いをお伝えする『社外参謀s File』をお届けします。第5回目は、税理士で経営コンサルタントの塩野貴之。営業時代に抱いた疑問から税理士に転身し「社外の経理部長」として躍進する思いを語ります。

 

取引先の倒産がきっかけ…経営者に近い場所で仕事をしたい

現在は税理士で経営コンサルタントとして活動していますが、社会人になったばかりの時は、旭硝子(現AGC)で営業をしていました。入社3年目で担当を任された宮崎県では、宮崎市内に自分でアパートを借りてそこを拠点にひたすらお客様の会社を回っていたんです。宮崎県の担当は社内で自分ひとりだけだったので、お客様との距離も自然と近くなり、可愛がっていただきました。

ところがある時、仲の良かった会社さんのいくつかが、資金繰りが厳しくなって、取引が継続できなくなってしまったんですね。中には倒産してしまった会社もありました。その時に、営業マンとしてではなく、社会人として何かできることがあったんじゃないかという悔しさと歯痒さを強く感じたんです。

その後も営業の仕事は続けたのですが、その無力感が残っていて、本当に相手の役に立っているのだろうかと疑問を持っていました。だんだん、もっと経営者さんに近いところで仕事をしたいという思いが強くなり、税理士になろうと決意。30歳くらいで簿記の勉強を始め、会社にも理解していただき経理部門に異動しました。ただ、勤務先の会社はあまりにも取り扱うものが大きく、私が関わっていきたい中小企業と比べると規模が違い過ぎたので、3年ののちに中堅企業の経理部門に転職しました。ここでは経理全体を見ることができ、周囲にも助けられながら勉強をする時間も作れました。そして、40歳を過ぎた頃に税理士の資格を取得し、2年後に独立しました。

 

運命的な出会いからJCFへ参画

税理士として独立してすぐは、帳簿確認などいわゆる税理士の仕事だけしていました。実際、税理士になったら経営の話ができると思っていたら、それだけでは全然足りなくて。もっと社長さんと距離の近い話ができたらと思っていました。

実は、JCFの石原さんとは、大学の同級生で、同じ野球部員。と言っても、石原さんは副キャプテンで、私は平部員だったんですが(笑)。ある時、彼と久しぶりに会った時に、キャッシュフローコーチの話を聞いたんです。自分に足りない部分を埋めるために何か勉強しないとと思っていたので、とても興味を感じて。これが運命的な出会いでしたね。そこからキャッシュフローコーチとしての活動も始めました。

でもキャッシュフローコーチになってからも、お金や税金以外の部分について経営者さんに対してもう一歩踏み込みきれない部分があると感じていました。そんな時に社外参謀養成大学の存在を知り、さらに経営に近いところの知識を得られると考え、受講することにしたんです。その後も、JCFにいる専門的な知識を持つメンバーと交流するため、事業にも参画しています。

現在JCFでは、石原さんやメンバーとの交流会である「五つ星交流会」の企画や、五つ星経営アカデミーの開催を手掛けています。

社外参謀養成大学に入り、五つ星経営フローなどのノウハウやメソッドを得たのはもちろんですが、最も大切にしている学びは「目の前に見えている事象に引っ張られることなく、本質的な問題がどこにあるのかを徹底的に考える」こと。その意識を常に持ちながら、顧問先の課題解決支援をしています。

 

目指す立ち位置は「社外の経理部長」

私の中では、社外参謀という立ち位置をもっと具体的にすると「社外の経理部長」というイメージで仕事をしています。お金がなかったら事業を始められませんし、会社を継続することも出来ないので、そこはしっかり守りたい。そして社長さんが事業に集中しながらやりたいことがやれるように、サポートしていきたいと考えています。コンサルを学ぶ前から、「中小企業のお金を守り、社長を支える社外参謀」という位置付けで関われたらいいなと思っていました。

ある時、顧問先の会社さんで、突然経理担当が辞めてしまって、しかも経理業務の仕組みができておらず、ミスが連発してしまったということがありました。すぐには人は増やせない状況だったこともあり、私が確認することにしたのですが、10日以上かけても間違いを訂正しきれませんでした。どうにか今いるメンバーだけで何とかするしかなく、私が業務フローやチェックリストを一緒に作り、仕組みを作りました。結果的に、4か月かけてなんとか以前と同じレベルまで戻し、新しく人を入れることなく業務が回るまでになりました。本当に大変な4か月でしたが、お客様の表情が明るくなり、いい表情で声をかけてもらえた時は、やってよかったなと思いましたね。自分ができることを全力でやることで、幸せそうな中小企業の社長さんを増やしたいと思います。

 

自分が直接関わって、後悔する人をなくしたい

今、私一人で業務を行っていますが、それは自分が直接会ってきちんと対応したいから。以前会社員の時に、顧問税理士が来なかったり見習いの方が来たりという場面を経験し「本当に社長さんの役に立つって何だろう」と考えさせられました。やはり、私自身がちゃんと関わって、責任をもって仕事をしたい。完全一人だと大変ではありますが、自分ができることを活かして、影響を与えられたらと常に心掛けています。

そのためには、やはり自分がステップアップしていく必要があります。少しずつでも知識と経験を上積みしていって、顧問先の社長さんに「何か困った時はとりあえず塩野に相談してみよう」とか「意見聞いてみよう」と思ってもらえる存在になりたいです。

勉強を続けるのはもちろんですが、それだけでなく、文化的なところも日々吸収するようにアンテナを張っています。例えば、私の趣味はゴルフなのですが、ゴルフ場って経営者の方が多いんです。だからゴルフをしながら、経営者さんと交流をして、世の中の社長さんがどんなことを考えているかをリサーチしています。これも仕事にプラスになっているなと感じますね。まぁ、ゴルフは遊びじゃない、と周囲に言っているだけというところもありますが(笑)。仕事として接しているわけではないので、いち人間同士として、社長の悩みや考え方を聞くことができて、勉強になっています。

やはり、宮崎で仲の良かった会社さんが倒産してしまってから、もっと早く相談しておけばという思いが今もずっと残っているんですよね。今社長さんと話していて「塩野さんに早く言っておけばよかったね」と言われると、自分の力不足を感じるとともに、残念な気持ちになるんです。声をかけてもらったら、何かできたかもしれない。だから私の周囲の方の中に、後悔する人をなくすために、私のもっと経営的な知識や経験を高めて、頼りになる人間になりたいなと思います。

 

<プロフィール>

塩野 貴之(しおの・たかゆき)

塩野貴之税理士事務所 代表。大学卒業後、旭硝子株式会社(現AGC)に入社し、営業を担当。その後経理に関わり、三洋貿易株式会社に転職。経理部門の仕組みづくりなどに従事し、仕事を続けながら税理士の資格を取得。独立し、税務の業務とともに「社外参謀」として中小企業へのコンサルティング業務も行っている。趣味はゴルフで、スコア80台のシングルプレイヤー。ハンディキャップを5以下にすることが現在の目標。

▶塩野 貴之プロフィールページ