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【社外参謀’s File #08】高塚 郁子 働く人々の「幸せ」のために支援し続けたい…自身が見つけた仕事への姿勢と働き方
中小企業と心をひとつに、外から支える「社外参謀」。JCFに所属する社外参謀たちの軌跡と中小企業への思いをお伝えする『社外参謀’s File』をお届けします。第8回目は、税理士の高塚郁子。仕事や働く人たちへの熱い思いと、JCFで出会った仲間への信頼について、語ります。
■お金がなくなっているのに見守るだけ…経営のアドバイスをする税理士になるため独立
税理士を目指したきっかけは、入学した短大で税理士の受験資格が得られると分かったから。当時は、税理士とは経営者に経営のアドバイスをして信頼されるパートナーになれると思い、これはやりがいがあるなと魅力を感じたんです。
短大を卒業してからは、会計事務所に就職し、働きながら試験の勉強を続ける日々。そして10年かかって税理士の資格を取得しました。20代の青春をすべて試験に捧げましたね(笑)。
けれど、会計事務所で働いて知ったのは、短大時代に魅力を感じていた経営へのアドバイスはほとんどされていないということ。新卒から複数の会計事務所を渡り歩いて、独立するまでに合計30年勤務しましたが、どの事務所も同様でした。結局サラリーマン時代は帳簿や申告書の作成に追われて、いつの間にかそれだけの仕事が当たり前になっていました。
でも、中には資金繰りがうまくいかずに倒産してしまうクライアントもあって。そういうのを見ていると、何かもっと経営のアドバイスができていたら違う形になっていたんじゃないか、という思いを持つようになりました。でも私には経営に関してアドバイスをする知識もなく…結局見守るしかなかったんです。お金がどんどんなくなっていく現状がわかっているのに、助言ができない状況に、つらい思いを感じていました。
そんな時に、所長が亡くなり、勤務の状況が変わることになったんです。疑問を感じていたこともあり、そのタイミングで独立を決意。8年目になる現在は、税務の仕事と経営のアドバイスをする形で業務を行っています。
■JCFで得た「経営の知識」と「頼りになる仲間」
独立してからは時間が自由になったので、経営のアドバイスができる税理士になるための勉強を始めました。まず初めに、東京の会計事務所が実施している経営計画についての塾を受講しました。中小企業家同友会にも入会して、経営者の方々に、税理士に何を求めているのかを聞いてみたんです。そうしたら、「経営の相談をしたい」という声が一番多かったんです。「やはり、私の方向性は間違っていなかった!」と確信しましたね。
2022年からはJCFの社外参謀養成大学に参加しました。すでに経営のアドバイスの仕事を始めていたのですが、クライアントからありとあらゆる悩みを聞いていくうちに、課題があまりにも多くて整理しきれずに悩んでいたところ、あるセミナーで石原さんと出会ったんです。社外参謀養成大学では、真の問題点の発見や、解決策実行のサポートまで学べると知り、お客様の課題解決のための学びにつなげたくて、受講を決めました。
実際に受講して、クライアントの悩みを聞いて、課題を整理して改善策を立てるまでのレベルまで支援できるようになりました。具体的には、「行動具体化シート」を使って、経営幹部さんや社員さんが決めたことを実行できたかどうか、一人一人と向き合ってPDCAを回すサポートをしています。それまでは社長さんだけでは実行できないことが多かったので、やるべきことを整理できて、社長さんからも喜ばれていますし、私も一緒に考えられるのでとても役立っています。
やり方だけでなく、気持ちも少し変わりました。「クライアント以上にクライアントの成功を信じる」という社外参謀スピリッツで、常に対応しています。
修了後も、JCFに参画し、五つ星経営アカデミーと組織活性化プロジェクト、組織風土診断プロジェクトに参加しています。社外参謀養成大学で学んだことを活かして、2024年春からの五つ星経営アカデミー講座開講を目指しています。
JCFのメンバーとは、毎月のように打ち合わせをしています。自分だけでは解決できないこともあるので、皆さんと協力して課題解決をしていけるのが心強いです。クライアントにとっても、私の後ろに、知識と経験がある、信頼し合える仲間がいるということは、安心につながると思います。
■お客様の「変わりたい」を支援することで、働く人々を幸せにしたい
経営計画は、計画を立てただけでは絵に描いた餅になってしまって、意味がないんですよね。だから私は、経営者さん、社員さん一人一人としっかり向き合って、計画を実行し、経営が確実に改善できるまでサポートするようにしています。悩みやぶっちゃけ話まで聞いて、本人の思いをくみ取る。やはり建前だけでは、結局実行しないということもあるんですよね。
傾聴をするために、コンサル技術の勉強をしました。それまでは、なかなか人に何かを聞くことがあまり得意ではなくて。「こんなこと聞いたら悪いかな」とか「気を悪くされちゃうかな」とか聞きづらかったんですけど、訓練をしてから踏み込んだことも聞けるようになりましたね。相手も本当は話を聞いてほしいんです。いろいろ話していく中で、ブレストのようになって、社長さん自らが「あ、思いついた!」ということもあって、お役に立てているな、と嬉しく思います。
私の経営理念は「お客様の『変わりたい』を支援することで、働く人々を幸せにする」です。お客様は変わりたいと考えて相談に来られるんですよね。私自身も、ずっと変わりたいって思ってきました。一人一人が変わることで、みんなが働くことを生きがいに感じられるように応援していきたいと思っています。
■10年計画でクライアントの「日本で一番大切にしたい会社大賞」の受賞を目指す!
クライアントの社員さん全員に「仕事が楽しい」と思ってもらえるのが、私の夢。どうしても仕事ってつらいものだっていう認識の方が多くなってしまいますが、私のサポートで仕事を楽しいと思っていただけるといいなと思っています。そのためには、社内のコミュニケーションを高めることがすごく大事。実際にコンサルをしているクライアントでは、上述した「行動具体化シート」を使うようになって、コミュニケーションも仕事も円滑に進むようになっています。
また、私自身が楽しい仕事をしようと意識することも大事だな、と強く思うようになりました。コンサル業は物ではなく、人物を売る仕事。「高塚さんだから仕事を頼みたい」と思ってもらうには、やはり私自身が楽しく仕事をしている様子を見せて、共感してもらうのが良いのかなと思っています。
やはり、税理士を目指すきっかけになった経営のアドバイスができるようになって、クライアントから「頼りにされている」と実感でき、やりがいを感じています。このワクワクパワーを、クライアントのみなさんに波及していきます!
10年計画ではありますが、目標は、私のクライアントの会社が「日本で一番大切にしたい会社大賞」を受賞すること。これは法政大学大学院の坂本光司先生が発起人の「人を大切にする経営学会」で発表していて、国も後援している賞。これを受賞するほどの良い会社を作るお手伝いをしたいです。受賞基準を満たすのはとてもハードルが高いのですが、私のサポートとJCFのメンバーの協力があれば、達成できると信じています。
<プロフィール>
高塚 郁子(たかつか・いくこ)
高塚郁子税理士事務所所長。短大卒業後、税理士事務所に勤務しながら税理士の資格を取得。経営者のパートナーとしてアドバイスをする税理士を目指し、2015年に独立。個人の成長を会社の成長につなげるべく、「社外参謀」として活動している。休日も読書やセミナーに通う勉強家。趣味は音楽鑑賞で、甲斐バンドのファン歴は40年。